流通業界は2030年世界博覧会(ワールドエキスポ)が釜山で開催されれば、エキスポの主舞台である北港再開発敷地付近の原都心商圏が最大の恩恵を受けると予想している。1990年代後半、中区にあった釜山市庁が連堤区に移転したことで衰退を繰り返した原都心商圏が、2026年に竣工する釜山ロッテタワーを中心に釜山最大の商圏だった過去の栄光を取り戻すか注目される。

エキスポのメインステージである北港に近い原都心には、チャガルチ市場・甘川文化マウル・山腹道路など釜山ならではの魅力を見せる観光地が多く、国内外の訪問者の足取りが続くと予想される。韓国開発研究院(KDI)によると、6ヵ月間開催されるワールドエキスポを訪れる来場者は少なくとも22百万人以上で、経済効果は50兆ウォン以上となる。最も成功したエキスポと評価される2010年の上海ワールドエキスポは、合計7400万人が観覧した。コロナパンデミックの中で開かれた2020年のドバイワールドエキスポにも2400万人が訪れた。

原都心は1998年、釜山市庁が現在の位置である蓮堤区に移転し、衰退し始めた。 特に中区南浦洞・中央洞一帯は、「釜山最大の商圏」のタイトルを釜山鎮区の西面に譲った。これをきっかけに、旧市庁舎があった中区はもちろん、西区・影島区・東区など原都心の低迷と人口絶壁が本格化した。原都心とは、狭義には旧釜山市庁舎近くの南浦洞、中央洞など中区一帯を指すが、広義には西区と東区、影島区まで広がる。その意味で、釜山がワールドエキスポの誘致に成功すれば、西面と海雲台区などに主導権を奪われた原都心全体に大きな活力を与えると予想される。エキスポ期間は6ヶ月でワールドカップ(1ヶ月)やオリンピック(19日)よりはるかに長く、長い間、外国人などの観光客が周辺で生活するため、消費と生産増加誘発効果もはるかに大きい。

いわゆる「エキスポ効果」による原都心復活の中心軸として釜山ロッテタワーが挙げられる。旧釜山市庁の敷地を1996年に購入したロッテは、27年後の8月17日に起工式を開き、地上階の工事に着手した。 この一帯は430年前、「草梁木」と呼ばれた場所だ。李舜臣将軍が壬辰倭乱の勃発から6ヶ月で100隻の倭船を撃破した釜山浦海戦・釜山大捷の歴史的な場所でもある。

ロッテショッピングは現在、地下に雨水などが漏れないように補強工事と一緒に鉄筋・コンクリート打設作業を進めている。釜山ロッテタワーは地上67階、342.5mの高さで2026年に建設される予定だ。ソウルのロッテワールドタワー(554.5m)、海雲台区エルシティランドマークタワー棟(411.6m)に続き、韓国で3番目に高い建築物になる。

釜山ロッテタワーがどんなコンテンツで満たされるのかも大きな関心を集めている。1～13階はロッテ百貨店光復店と連結して販売施設として活用し、最高層部である56～64階には展望台やギャラリーなどの文化施設を入れるという大まかな計画程度しか知られていない。釜山ロッテタワーを設計した建築家である日本のクマ・ゲンゴ氏は昨年8月の起工式で「展望台から北港再開発敷地、影島と海、釜山の原都心と山を見ることができる3つの景色が見えるように設計した」と説明した。

流通業界は、2030ワールドエキスポを控えて完成する釜山ロッテタワーが、現在注目されている観光地である影島、開発中の北港とともに観光必須コースとして定着するためには、魅力的な観光・流通コンテンツで多様化しなければならないと口をそろえる。ロッテショッピングの関係者は「釜山の観光産業の発展に貢献できるコンテンツの導入を積極的に検討している」とし「ただし、観光と流通業界はトレンドの変化速度が非常に速いため、現時点では入店ブランドや運営者などを決める段階ではない」と明らかにした。

釜山ロッテタワー敷地と原都心全景